チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド 思想地図β vol.4-1

チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド 思想地図β vol.4-1

チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド 思想地図β vol.4-1

 

本書のページを見ると大きく2部構成に分かれていて、第一部をチェルノブイリ原発の観光ガイド、第二部を取材としている。まだ第一部の途中なのではっきりとした意見は出せないが、ある情景を思い出した。

 

川崎フロンターレのサポーターである自分は、よくアウェーにいく。サンフレッチェ広島と戦った際には広島まで応援に行った。そこにあった原爆ドーム、平和記念資料館を見てきた。また呉にも行って大和ミュージアム海上自衛隊呉史料館にも赴いた。

 

原爆ドーム、平和記念資料館は起こってしまった現実の凄惨さがよく分かった。記録が多い分、読解に時間がかかるところが多いため、大人になってからの方がより伝わる部分が多いだろう。

 

一方で、大和ミュージアムは平和の大切さを基調としながらも、どことなく歯切れの悪い説明が続いていた印象がある。また、海上自衛隊の史料館も平和を守るための活動に自分たちのリソースを使っていますということが前面に押し出されていて、少し違和感を感じた。

 

戦争はマイナスのものだけをもたらすわけではない。技術革新という面では必要性に強く迫られるため、プラスに働く面もあるだろう。(だからといって、私個人は戦争に賛成しているわけではない)そのような部分を、過去をすべて過ちだったと捨て、新しく変化しようとすれば、見たくなかった部分を見ずに先へ進むことになるのでまた同じことを繰り返すだろう。

 

過ちは、何かをする・したことだけではなく、何かを志したときにその副作用、マイナス面を見ないことによっても起こるのではないか?そして、それを学ぶためには単純に歴史年表のような感じで記憶するのではなく、どのような経緯で起こったか納得させる・腹に落とすことが重要であり、またそれを最も効果的に伝達するためには現地に来てもらい、記録とともに実際に起こっている風景なども一緒に記憶に刻みつけることが重要だ。そのために、観光地化という形でフクシマを取り上げたのではないかと感じた。

 

じっくり読み進めていきたい一冊である。